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小学生白書Web版 2012年7月調査

第2章 子どもの教育に対する家庭の方針 -理科的な活動に対する保護者の構えに着目して-

渡辺恵(明治学院大学非常勤講師)

3.家庭における理科・科学に関わる活動の取り組み

 理科に関わる教育的活動は、どのような家庭で実際にどの程度取り組まれているのだろうか。ここでは、この点を明らかにしていくことにする。

(1)理科・科学に関わる活動の取り組み状況

小学6年生の子どもがいる家庭では、どのような理科・科学的な活動が、どの程度行われているのだろうか。図2-14は、「子どもと一緒に行っている理科・科学に関わる活動」を「する」と回答した割合(「よくする」と「どきどきする」の合計)を示したものである。

図2-14.「子どもと一緒に行っている理科・科学に関わる活動」(全体 N=1028)

※「よくする」または「ときどきする」に回答があった割合

図

6割近い家庭で行われている理科や科学に関わる活動は、「自然災害や自然破壊、エネルギー問題といった環境問題について話をすること」(59.0%)、「テレビで科学や理科に関わる番組を見ること」(59.0%)である。環境問題について子どもと一緒に話す家庭が多いのは、東日本大震災やその後に起こった原発問題により、環境に対する子どもの関心が高まっていることと関係していると思われる。また、科学や理科の情報や知識を得る手段として、本を読んだり、講座・講習会に参加したりするよりも、テレビがよく活用されているようである。昨今、テレビでは、理科や科学的な内容が教養番組だけではなく、クイズ番組やバラエティ番組でも取り上げられている。そのため、以前に比べ、テレビを通じて、家庭でそうした情報に接しやすくなっているのだろう。次いで高いのは、「動物園や植物園、科学博物館などに行くこと」(56.7%)である。レジャーとしてだけではなく、理科や科学に関わる知的な好奇心を伸ばすことにもつながる博物館を活用する家庭は半数程度である。このように見ていくと、家庭で取り組む機会が高い活動には、理科や科学に関わる知識・情報を得るような活動が多いと言えよう。

「自然の多いところで遊んだり、散歩したりすること」をしている家庭は55.1%であり、「植物や動物、昆虫の世話をすること」は42.8%であった。「キャンプに行くこと」(25.5%)はあまり行われていないようだが、自然に親しんだり、触れあったりするような活動は、ある程度行われているようである。ただ、「工作をすること」(38.6%)や「もの作りの現場を見に行くこと」(26.4%)といったものづくりの工程を体験的に知る機会となる活動は、あまり行われていないようである。自然に親しむような活動やものづくりに関わるように活動は、家庭によって取り組みに差がありそうである。

では、どのような家庭において、理科や科学に関わる活動の機会が多いのだろうか。このことを検討するために、家庭における理科・科学に関わる活動機会を得点化していくことにする。図2-14で取り上げた10の項目に関して、「よくする」を3ポイント、「ときどきする」を2ポイント、「あまりしない」を1ポイント、「まったくしない」を0ポイントとし、活動機会の合計点を算出した。その合計得点は、0から30ポイントまでの範囲となる。1028家庭の全体の平均値は13.07である。

ここで、子どもの属性と理科・科学に関わる活動機会との関係を確認しておくと、表2-4の通りになる。子どもの性別に着目すると、小学6年生の子どもが男子の家庭では、平均値が13.40となる。女子の場合は、12.74である。男子の家庭では、理科や科学に関わる活動機会が若干多いようである。出生順位では、子どもが第一子の場合、活動機会が多少多いようである。家庭における理科や科学に関わる活動機会は、子どもの属性による影響は小さいと言えよう。

表2-4.理科・科学に関わる活動機会の平均値

表

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