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渡辺恵(明治学院大学非常勤講師)
子どもの学業に対して保護者はどのような構えでいるのか。この項と次の項で、子どもの学習に対する保護者の関与と進学に対する期待に分けて見ていくことにする。
子どもの学習に対する保護者の関与について2つの質問から検討していこう。ひとつは、子どもの学習において心がけていることとして、「宿題などの勉強を見てあげるようにしている」ことがどの程度あてはまるかを尋ねたものである。その結果は図2-2に示すとおりである。
図2-2.「宿題などの勉強を見てあげるようにしている」割合
(全体、性別、出生順位別 単位:%)
*「とてもあてはまる」と「まああてはまる」の回答の合計
全体では、約3分の2程度の家庭が「勉強を見てあげるようにしている」と回答している。子どもの勉強への親の積極的関与がある程度なされていることが窺える。その傾向は、性別にかかわらず、子どもが第一子の場合にはさらに強まるようである。先に検討した日常生活に関わるしつけと同様に、親は第一子に対しては、注意深い対応で子どもの成長を促す構えでいると言えよう。
もうひとつは、「子どもの疑問や質問について、子どもと一緒に調べること」をどの程度しているかを尋ねたものである。「子どもと一緒に調べること」は、疑問や質問に答えを与えるだけではなく、調べ方や学び方などを子どもに教えることも含まれてくる。この点で、この質問から、保護者が子どもの学びにどの程度積極的に関与しているのかを見ていくことができよう。その結果は、図2-3に示すとおりである。
図2-3.「子どもの疑問や質問について、子どもと一緒に調べること」の頻度
(全体、性別、出生順位別 単位:%)
*「よくする」と「ときどきする」の回答の合計
全体に目を向けると、「子どもの疑問や質問について、子どもと一緒に調べること」をしている家庭は、「インターネットを使って」の場合では86.8%にのぼり、「図鑑や事典、辞書を使って」の場合では71.6%である。ほとんどの家庭で、子どもと一緒に調べながら、子どもの疑問や質問に答えようとしていることがわかる。ただし、調べる手段が「インターネット」か「図鑑や事典、辞書」かでは、15ポイントほどの差がある。ここから、インターネットを活用して調べることは、各家庭で手軽に行われていることが窺えよう。それに対して、図鑑や事典、辞書を活用することに関しては、これらを所有しているかどうか、複数の書籍を調べるだけの手間をかけるかどうかなど、家庭における文化的資源の高さや子どもの教育に対する保護者の熱心さがより影響していそうである。
なお、子どもの性別や出生順位からみた場合、子どもの勉強に対する関わり方と同様に、小学6年生の子どもが「第二子以降」の場合、「第一子」に比べ、「図鑑や事典、辞書」を活用して調べることがやや少なくなるようである。