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小学生白書Web版 2010年9月調査 調査結果

第1章 学校での学びに対する意識 ~全体・性別・学年別にみる特徴~

渡辺恵(明治学院大学非常勤講師)

はじめに

 新しい学習指導要領が2011年から完全実施となり、その移行措置としてすでに一部実施されはじめている。現行の体験的な学習を踏襲しつつも、基礎的な知識の習得を基にした思考力や表現力を身につける学びが重視されるようになる。学校における新たな学びを、小学生はどのように受けとめることになるのであろうか。この点を推察していくために、ここでは、小学生の学校生活に対する思いや学校での学びに対する考え方など、最近の小学生の学びに対する意識を把握していくことにする。

1.学校生活に対する意識

 最近の小学生は学校生活に対してどのように感じているのであろうか。この点を「学校が楽しいとき」、「学校に行きたくないときがあるか」、「好きな先生」の3つのことからみていくことにする。

(1)学校生活は楽しい

全体的な傾向をみていくと、小学生は学校生活を楽しんでいることがわかる(図1-1)。

棒グラフ

図1-1.学校が楽しいとき(全体・性別)

「学校で何をしているときが楽しい」かを尋ねた質問に「楽しいときは何もない」と答えた児童は0.5%であり、何かしら学校の中で楽しいときを過ごしていることがうかがえる。なかでも、学校で一番楽しいと感じているときはやはり「友だちと遊んだり話したりするとき」(93.9%)のようである。次いで、「運動会や遠足などの行事のとき」(48.9%)や「給食のとき」(46.4%)である。友だちと一緒に賑やかに過ごせることが学校生活での楽しさにつながっているといえる。なお、楽しいと感じるときは男子と女子では大きな違いはみられない。

折れ線グラフ

図1-2.学校が楽しいとき(学年別)

学年別にみていくと(図1-2)、「友だちと遊んだり話をしたりするとき」や「運動会や遠足などの行事のとき」、「給食のとき」では、学年による違いはほとんどみられない。ただ、「授業を受けているとき」に関しては、1年生では3割の児童が楽しいと感じているが、学年があがるにつれて、楽しいと感じる児童が少なくなっている。特に高学年の児童では、授業よりも、4年生から本格的に始まるクラブ活動や委員会活動などの課外活動により楽しさを感じていることが見て取れる。

帯グラフ

図1-3.学校に行きたくないとき

このように学校生活を楽しんでいる小学生ではあるが、ときに「学校に行きたくない」と感じることがあるようである。「学校に行きたくないときがありますか」と尋ねたところ、全体では「よくある」が5.0%、「少しある」が36.5%と約4割の児童が「ある」と答えている(図1-3)。 ただし、「ぜんぜんない」と回答する児童が2割強、「あまりない」と回答する児童も35.7%であり、学校に行きたくないときがない児童が半数を越える。したがって、全体的にみれば、学校嫌いの小学生は少ない傾向にあるといえる。なお、学年ごとで比べると、1年生において「学校に行きたくないとき」が「ぜんぜんない」と回答する児童が多く、1年生が学校生活を一番楽しく過ごせていることがわかる。

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