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TOP > 小学生白書Web版 > 2010年9月調査 > 序章 学校での「学び」を考える ~今どきの「勉強ができる子」とは?~
渡辺恵(明治学院大学非常勤講師)
小学生はどのようなタイプの教師を好ましく感じているのであろうか。
アンケート(図1-4から図1-6)では、授業重視(「わかりやすい授業をする先生」)か遊び重視(「一緒に遊んでくれる先生」)か、威厳(「きちんとしかってくれる先生」)か親しみやすさ(「友だちのような先生」)か、寄り添い型(「いつも近くにいてくれる先生」)か見守り型(「少し離れたところで見守ってくれる先生」)か、それぞれ2項対立で好きな先生を尋ねてみた。
その結果、全体では「一緒に遊んでくれる先生」(61.0%)であり、「友だちのような先生」(70.2%)であり、「いつも近くにいてくれる先生」(73.3%)の方が好ましく感じている。
小学生は、授業に力を入れ、少し離れたところから子どもたちを見守り、必要に応じて厳しい対応もする先生らしい教師よりも、親しみやすく絶えず一緒に過ごしてくれる友だちのような教師を求めていると思われる。
ただ、こうした友だち感覚で関われるタイプの教師を好ましく感じるのは、低学年に強くみられる。高学年になるとその傾向は変化し、「わかりやすい授業をする先生」(1年生:33.0%→6年生:50.5%)や「きちんとしかってくれる先生」(1年生:25.0%→6年生:34.5%)、「少し離れたところで見守ってくれる先生」(1年生18.5%→6年生38.5%)を好きと回答する児童が増えている。高学年の児童になると、教師との間に少し距離ができ、徐々に先生らしい教師を求めるようになってくるといえる。
図1-4.好きな先生(1)
図1-5.好きな先生(2)
図1-6.好きな先生(3)
こうした変化の背景のひとつには、教師像を形づくる経験の違いによるものが考えられる。低学年の児童は、幼稚園や保育所での経験をもとに、子どもに寄り添いながら生活全般について教える養育者のイメージを教師に投影しているのではないだろうか。しかし、学校での経験を積み重ねるなかで、行動の規範を示すと共に,知識・技術の習得を支援する教育者としての教師像が形成されると思われる。だからこそ,高学年の児童は「わかりやすい授業」や「きちんとしかる」といったことに好ましさを感じるようになるといえよう。もうひとつには、児童の自立心と関係していると考えられる。高学年になれば、自立心が芽生えてくる。そうなれば、児童は大人には口出しをして欲しくないと思うようになる。したがって、高学年の児童は、「少し離れたところで見守ってくれる」ことを望むようになるのではないだろうか。