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小学生白書Web版 2010年9月調査 調査結果

第1章 学校での学びに対する意識 ~全体・性別・学年別にみる特徴~

渡辺恵(明治学院大学非常勤講師)

2.学びに対する意識

 学校生活の核となるのは授業である。しかし、先の結果によると、小学生は必ずしも今受けている授業を楽しいと感じているわけではない。では、小学生はどのような授業であれば、授業を好きになるのであろうか。また、小学生はどのような学びを得意としているのだろうか。ここでは、授業や学びに対する小学生の意識をもう少し詳しく探ってみることにする。
 ちなみに、今回のアンケートに回答した小学生では、全体で約8割(「ぜんぶわかる」と「だいたいわかる」の合計)の児童がだいたい授業を理解している(図1-7を参照)。

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図1-7.授業の理解度

 また、全学年通じて、「あまりわからない」や「まったくわからい」と回答する児童は5%未満であり、勉強ができる児童が今回のアンケートに回答している傾向があるといえる。以下では、この点を留意しつつ結果をみてほしい。

(1)好きな科目も嫌いな科目も算数

 まずは、どの科目が好きであり、嫌いであるのかを検討していくことにしよう(図1-8と図1-9を参照)。

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図1-8.好きな科目(全体・性別)

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図1-9.嫌いな科目(全体・性別)

 小学生に好きな科目と嫌いな科目をそれぞれひとつだけ選んでもらったところ、全体では、好きな科目は算数(20.9%)、次いで体育(19.4%)、図工(15.6%)、国語(12.5%)、音楽(11.3%)の順であり、嫌いな科目は算数(25.9%)、「あてはまるものはない」(21.6%)、国語(19.6%)、体育(8.3%)の順であった。算数と国語は好きと嫌いがはっきりとわかれた結果となっている。

 このような結果を踏まえつつ、性別ごとにみていくと、男子では、算数は好きであるが、国語は嫌いな傾向が、女子では反対に算数は嫌いであるが、国語は好きな傾向が見て取れる。

 したがって、算数と国語の好きと嫌いが拮抗するのは、性別による差を反映しているためといえる。性別による差は、好きな科目の体育と音楽にも見られる。男子は女子に比べ好きな科目として体育をあげる児童が多く、女子では男子に比べ音楽をあげる児童が非常に多い。

学年別の結果は、図1-10 や図1-11 の通りである。

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図1-10.好きな科目(学年別)

 好きな科目において特徴的な科目は、図工である。図工が好きであると回答する児童は、学年があがるにつれて少なくなっている(1年生:21.5%→6年生:8.5%)。低学年において図工好きが多いのは、純粋にモノを作ること自体に楽しさを感じているためであろう。しかし、高学年になると、単にモノをつくることに留まらず、作品としての完成度を上げることが求められるようになる。また、作品に対する優劣が問われるようにもなる。そのことにより、図工の時間を純粋に楽しめなくなり、「好き」という感覚がなくなっていくのではないだろうか。

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図1-11.嫌いな科目(学年別)

 嫌いな科目において特徴的なことは、嫌いな科目が「あてはまるものはない」とする児童が高学年では少ないこと(1年生:42.0%→6年生:13.0%)である。これは、学年があがるにつれて、それぞれの科目に対しての得意・不得意がはっきりとしていき、結果として、嫌いな科目がでてくるためと思われる。

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