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小学生白書Web版 2010年9月調査 調査結果

第3章 これからの学校での「学び」はどうなるか? ~「習熟度」3グループの比較をもとに~

石井久雄(明治学院大学准教授)

3.算数と体育がポイント ~好きな科目・嫌いな科目~

 「勉強が得意な子」は、どんな科目が好きで、どんな科目が嫌いなのであろうか。「勉強が苦手な子」と比較することで、その特徴をみていくことにしよう。

棒グラフ

図3-2.「習熟度」3グループ別にみた「好きな科目」

棒グラフ

図3-3.「習熟度」3グループ別にみた「嫌いな科目」

 図3-2は、「好きな科目」で、下位グループと上位グループで5ポイント以上差があった科目を示したものである。それによると、「習熟度」上位グループ(以下、図表中では「上位G」と略)は算数と理科が好きで、「習熟度」下位グループ(以下、図表中では「下位G」と略)は図工、音楽、体育が好きである傾向がみられた。図3-3は、「嫌いな科目」で、下位グループと上位グループで5ポイント以上差があった科目を示したものである。それによると、「習熟度」上位グループは体育が嫌いで、「習熟度」下位グループは算数が嫌いである傾向がみられた。

 「好きな科目」の結果から分かることは、「勉強が得意な子」は、計算をしたり、文章題を解いたりする算数や、実験や観察を行う理科が好きである。「勉強が苦手な子」は、図工、音楽、体育といった、表現したり、体を動かしたりする活動が含まれる科目が好きである。勉強が得意なのか、不得意なのかによって、好きな科目が異なっていることが分かる。

 「嫌いな科目」の結果をみてみると、「勉強が得意な子」は、「嫌いな科目はない」と回答する割合が高く、全般的に嫌いな科目は少ないといえる。しかし、「勉強が得意な子」も、オールマイティという訳ではなく、科目のなかでも、不得意なものがあるようである。そうしたなかで、「勉強が得意な子」の体育嫌い、「勉強が苦手な子」の算数嫌いが浮き彫りになった。「勉強が得意な子」は、教室で受ける授業を好み、校庭や体育館で行われる授業に苦手意識をもつのであろうか。また、「勉強が苦手な子」は、分数や面積といった4年生から本格化・高度化する算数の内容に苦手意識をもつのであろうか。いずれにせよ、彼らの苦手意識を早期に発見し、指導していくことが大切である。

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