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小学生白書Web版 2010年9月調査 調査結果

第3章 これからの学校での「学び」はどうなるか? ~「習熟度」3グループの比較をもとに~

石井久雄(明治学院大学准教授)

はじめに

 小学6年生、中学3年生に対して実施される文科省の学力テストが定着し、また独自に学力テストを行う自治体も出てくるなど、子どもの学力への関心は依然高い。小学生といえども、テストの点数に一喜一憂し、「勉強ができる・できない」ことを気にする雰囲気にある。また、新しい学習指導要領には「確かな学力」の確立がうたわれ、学校の先生も保護者も、子どもの学力に対してより敏感にならざるを得なくなっている。

 そうした状況のなかで、子どもたちは、「学び」をめぐって学校でどのような姿をみせているのであろうか。何の教科が好きで、どのような授業スタイルを好み、先生といかなる関係を取り結びたいと思っているのか。

 本章では、「勉強ができる子」と、そうでない子が織りなす学校生活の一端を明らかにし、学校での「学び」の課題を探っていく。

1.転換点となる4年生

 まず、小学生全体の勉強に関する意識や行動についてみていくことにしよう

折れ線グラフ

図3-1.学年別にみた「中学受験志望者」及び「学習塾に通っている者」

 図3-1は、「中学受験志望者」と「学習塾に通っている者」の割合を学年別に示したものである。それによると、中学受験を志望する者は、4年生から倍増し、6年生まで15%前後で推移している。学習塾に通う者も、4年生から倍増し、6年生まで3割前後で横ばいとなっている。このように、4年生を境にして、将来に向けた目標が定まり、具体的な行動をとる小学生が急増するようになる。換言すれば、中学受験志望といった勉強に関する意識が高まったり、塾通いといった勉強に関する行動を開始したりする大きな節目が、4年生であるということである。

 そこで、本章では、学校での「学び」を考えるにあたって、4年生以上にしぼり、「勉強ができる子」の様子をみていくことにする。

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