好きな先生のタイプに関して、「勉強が得意な子」と「勉強が苦手な子」の間に差があるのであろうか。

　まず、「一緒に遊んでくれる先生」と「分かりやすい授業をする先生」のどちらの先生が好きかを訊いてみた（図3-9参照）。「一緒に遊んでくれる先生」では、「習熟度」上位グループよりも「習熟度」下位グループの方が、好きであると答える者が多かった（上位G：39.5%→中位G：58.1%→下位 G：58.7%）。「分かりやすい授業をする先生」では、「習熟度」下位グループよりも「習熟度」上位グループの方が、好きであると答える者が多かった（下位G：41.3%→中位G：41.9%→上位G：60.5%）。「勉強が苦手な子」は、休み時間や昼休みを重視し、一緒に遊んでくれる先生が好きであるといえる。「勉強が得意な子」は、授業時間を重視し、分かりやすい授業をする先生が好きであるといえる。

図3-9．「習熟度」3グループ別にみた「好きな先生」(1)

　また、図3-10は、習熟度別に「友だちのような先生」と「きちんと叱ってくれる先生」のどちらが好きかを示したものである。「習熟度」下位グループは、「習熟度」上位グループよりも、「友だちのような先生」を好む割合が高い（上位G：57.8%→中位G：64.8%→下位G：77.1%）。「習熟度」上位グループは、「習熟度」下位グループよりも、「きちんと叱ってくれる先生」を好む割合が高い（下位G：22.9%→中位G：35.2%→上位 G：42.2%）。「勉強が苦手な子」は、先生に対して親しさを求めている。「勉強が得意な子」は、先生に対して厳しい側面を求めている。

図3-10．「習熟度」3グループ別にみた「好きな先生」(2)

　さらに、「いつも近くにいてくれる先生」と「少し離れた所で見守ってくれる先生」のどちらの先生が好きかを訊いてみた（図3-11参照）。「いつも近くにいてくれる先生」では、「習熟度」上位グループよりも「習熟度」下位グループの方が、好きであると答える者が多かった（上位G：63.3%→中位 G：68.2%→下位G：71.6%）。「少し離れた所で見守ってくれる先生」では、「習熟度」下位グループよりも「習熟度」上位グループの方が、好きであると答える者が多かった（下位G：28.4%→中位G：31.8%→上位G：36.7%）。「勉強が苦手な子」は、先生と密着した関係を期待している。「勉強が得意な子」は、先生と少し距離をおいた関係を期待している。

図3-11．「習熟度」3グループ別にみた「好きな先生」(3)

　このように、「勉強が苦手な子」は、子どもと同じ目線で一緒に話したり遊んだりしてくれて、いつもそばにいてくれる、優しい先生を好むことが分かった。また、「勉強が得意な子」は、授業をしっかりしてくれて、ルールをきちんと守らせ、教師～児童との間に一線を引き、大人扱いをしてくれる先生を好むことが分かった。