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TOP > 小学生白書Web版>第3章 これからの学校での「学び」はどうなるか? ~「習熟度」3グループの比較をもとに~
石井久雄(明治学院大学准教授)
「勉強が得意な子」は、どのような勉強法が得意なのであろうか(図3-4参照)。「問題をはやく解くこと」、「難しい問題をじっくり考えること」、「ものを覚えること」、「分からないことや知らないことを調べること」、「自分の考えを文章にまとめること」、「他の人が思いつかないアイディアを出すこと」の全てにおいて、「習熟度」下位グループよりも「習熟度」上位グループの割合が高くなっている。「勉強が得意な子」は、上記の勉強法の全てが得意であるといえる。
図3-4.「習熟度」3グループ別にみた「得意な勉強法」
(注:「得意」、「どちらかといえば得意」の合計の割合)
図3-5.「得意な勉強法」における「習熟度」上位グループと下位グループのポイント差
しかし、より細かくみていくと、その特徴がみえてくる。「習熟度」上位グループと下位グループの割合の差が最も大きかった項目は、「問題をはやく解くこと」(70.1%~18.3%=51.8ポイント)と「難しい問題をじっくり考えること」(51.0%~4.6%=46.4ポイント)であり、50ポイント前後の差が開いている(図3-4および図3-5参照)。つまり、はやく問題を解いたり、じっくり考えて問題を解いたりすることに関して、「勉強が得意な子」と「勉強が苦手な子」の間に、大きな溝が存在するということである。両者に共通するのは、問題に対する構えであると考えられる。はやく解くにせよ、じっくり考えて解くにせよ、問題を前にして、ひるまずに果敢に挑戦してみようという意欲に差があるのではないか。「勉強が苦手な子」への指導のなかでも、問題を解く意欲をどのように育てていったらいいのかを、しっかり考えていく必要がある。
なお、はやく解く、じっくり考えて解くといったとき、計算をしたり文章題を解いたりといった算数のイメージが思い浮かぶ。はやく解く、じっくり考えて解くことへの得意、不得意が、算数の好き嫌いにつながっているのかもしれない。この点は、今後の検証課題としたい。