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小学生白書Web版 2010年9月調査 調査結果

第2章 小学生の日常生活についての意識と実態

遠藤宏美(明治学院大学非常勤講師)

4.将来について

 ここまで、小学生の毎日の生活や自分のとらえ方を見てきた。では、小学生は将来の自分の姿をどのように考えているのだろうか。ここでは、「就きたい職業(仕事)」と「進学したい学校」についてのアンケート結果を見ていこう。

(1)男子と女子で大きく違う「就きたい職業(仕事)」

 将来、就きたい仕事について、男女別に上位5つまでを挙げたものが、表2‐2である。男子に人気が高い職業は「プロサッカー選手」(17.2%)、「プロ野球選手」(10.7%)といった、プロスポーツ選手である。女子は「パティシエ・ケーキ屋さん」が圧倒的に多く、約2割(18.7% )にものぼる。その他、「お花屋さん」(9.8%)も多く、お店を持ったりお店で働いたりすることに憧れている様子がうかがえる。

表2-2. 将来就きたい職業(男女別、上位5種類)

表

注)「そのほか」「わからない・まだ決めていない」を除く。
芸能人=「歌手・俳優・声優・お笑いタレントなど、芸能人」

 次に、性別・学年別に、希望職種を上位3位まで示したものが表2‐3である。前述のように男子では「プロサッカー選手」や「プロ野球選手」はどの学年にも人気が高い職業である。サッカーや野球は、テレビで中継が多くなされるため、比較的よく目にするスポーツであるといえる。また、小学生の男の子がよくやる遊び(表2‐1参照)にも登場するほど、身近なスポーツでもある。そのため、こうしたスポーツのプロ選手は憧れの職業として想起されやすいのだろう。しかし学年が上がるにしたがって徐々にこれらのスポーツ選手を挙げる割合が減少し、代わって「そのほかのスポーツ選手」が上位に登場するようになってくる。

 この理由としては、学年が上がるとサッカー・野球以外のスポーツを見たり体験したりする機会が増えて、興味が向いていくことが考えられる。

 なお、図2‐15は、「プロサッカー選手」「プロ野球選手」に加え、「そのほかのプロスポーツ選手」も含めて、「プロスポーツ選手」になりたいと答えた子どもたちの割合を男女別および学年別に示したものである。

表2-3. 将来就きたい職業(性別・学年別、上位3種類)

表

注)「そのほか」「わからない・まだ決めていない」を除く。
芸能人=「歌手・俳優・声優・お笑いタレントなど、芸能人」
動物に関わる仕事=「ペットショップ、飼育員、獣医など動物に関わる仕事」

 女子の「プロスポーツ選手」希望が0~5%と低いのに対し、男子のそれは25~42%と高い割合を占めている。ここから、女子に比べて男子の「プロスポーツ選手」に対する憧れが強いことが一目瞭然である。とはいえ、男子では3年生をピークに「プロスポーツ選手」になりたいという希望が減少している。おそらく、ほかの職業の存在を知って興味が移ったり、実力が評価され、競争が厳しいプロスポーツの世界をあきらめたりしているのではないかと考えられる。

 では、表2-3をもう一度見てみよう。男子の希望でプロスポーツ選手のほかに多いのは、「ゲームデザイナー」や「電車・バスなどの運転士」などであり、よくやる遊びや日常生活でよく利用される交通手段にかかわる仕事に興味を示していることが見て取れる。

 一方、女子ではすべての学年で「パティシエ・ケーキ屋さん」の割合がトップである。次いで多いのは「お花屋さん」であり、おいしいものやかわいいもの、美しいものに触れたり売ったりする職業に対する憧れが強いことがうかがえる。こうしたお店に行って、自らが幸せになった経験が、憧れを生じさせているのだろう。

 また、「幼稚園の先生・保育士」や「看護師」「動物に関わる仕事」なども多く、人間や動物に接する「優しい」イメージのある仕事の人気も高いようである。「漫画家・イラストレーター」も比較的多く挙げられているが、先に見たように、女子には絵を描いたりして表現することを得意とする子が多いので、そのことが影響していると考えられる。

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