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小学生白書Web版 2010年9月調査 調査結果

第3章 これからの学校での「学び」はどうなるか? ~「習熟度」3グループの比較をもとに~

石井久雄(明治学院大学准教授)

7.学校や勉強への思い

 「勉強が得意な子」と「勉強が苦手な子」は、学校や勉強に対してどのような思いをもっているのであろうか。

 まず、学校生活でどのような場面を楽しいと思っているのかをみてみよう(図3-12参照)。5ポイント以上の差があり、下位グループと上位グループの関係が明確である項目は、「授業を受けているとき」、「クラブ活動をしているとき」の2項目であった。「勉強が得意な子」は、学校生活のなかでも、クラブ活動を含め授業場面が好きであることが分かる。

帯グラフ

図3-12.「習熟度」3グループ別にみた「学校で楽しいとき」(複数回答)

 授業が好きな「勉強が得意な子」であるが、学校での勉強に対しては、どのように考えているのであろうか(図3-13参照)。「学校の勉強は将来役に立つと思うか」と尋ねたところ、「役立つ」と答える者は「習熟度」上位グループで大幅に多く、「分からない」と答える者は「習熟度」下位グループで大幅に多くなっている。「勉強が得意な子」は、学校での勉強が将来役に立つと考えていることが分かる。

帯グラフ

図3-13.「習熟度」3グループ別にみた「学校の勉強は将来役立つと思うか」

 それでは、学校へ行くことにはどのような気持ちがあるのであろうか(図3-14参照)。「学校に行きたくないときがある」と回答したのは、「習熟度」下位グループよりも「習熟度」上位グループの方が低かった。「勉強が得意な子」は、学校に行きたくないと思うことが少ないといえる。

帯グラフ

図3-14.「習熟度」3グループ別にみた「学校に行きたくないときがある」

(注:「よくある」、「少しある」の合計の割合)

 このように、「勉強が得意な子」は、学校生活のなかでも授業場面に楽しみを見出している。また、「未来につながる勉強を、今しているんだ」という意識を持ちながら、勉強することの意義を感じている。さらに、学校に通う意欲も高い。「勉強が苦手な子」は、学校生活の大部分を占める授業に楽しさを見出せず、何のために勉強をするのか疑問に感じ、学校に行きたくないという気持ちが増している。「勉強が苦手な子」に対して、学校での楽しいひとときをどのように確保し、勉強の意義をどうやって伝え、登校意欲を高めるにはどうしたら良いのか。真剣に考えていく必要がある。

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