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TOP > 小学生白書Web版 > 2010年9月調査 > 序章 学校での「学び」を考える ~今どきの「勉強ができる子」とは?~
渡辺恵(明治学院大学非常勤講師)
以上のように、小学生の学校生活と学びに対する意識をみてきた
学校生活では、小学生は、友だちと賑やかに過ごすことができるときに楽しいと感じていることがわかった。また、先生らしい教師よりも親しみやすく一緒に過ごしてくれる友だちのような教師を求める傾向にあることもうかがえた。加えて、最近の小学生は、ものを覚える学びは得意であるが、ものごとを熟考する学びや自らの考えを表現する学びは苦手であることが見て取れた。授業に関しては、将来に向けて能力を伸ばすことよりも、その場の楽しさやおもしろさを求める傾向がみられた。
こうした結果を踏まえると、小学生にとっての学校での学びにおける重要なポイントは、新たに習得した知識や情報を応用して自らが考え、論理的に問題の解決を導き出すような学びそのものを深めることよりも、友だちや先生と関わり合いながら学ぶことにあるといえよう。
新しい学習指導要領では、知識の確実な習得を基盤にして、思考力、表現力を身につけさせる授業が展開される。そうした授業は、アンケートの結果から推察すると、今の小学生があまり好まない授業である可能性がある。小学生が苦手としている学びであり、その苦手を克服するような授業はあまり望まれていない。したがって、自らが考え、発見していくことのおもしろさや論理的に思考していく楽しさを児童に伝えられるかどうかが鍵となるであろう。