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小学生白書Web版 2010年9月調査 調査結果

第2章 小学生の日常生活についての意識と実態

遠藤宏美(明治学院大学非常勤講師)

3.今の自分について

 次に、小学生は今の自分をどのように見ているのだろうか。今回のアンケートでは、「得意なこと」と「自分を好きかどうか」を尋ねている。その結果をみていこう。

(1)表現することが得意な小学生

 小学生の得意なことは何だろうか。このアンケートでは具体的な技能や学力としてではなく、どのような分野のことが得意であると感じているかを尋ねている。まずは全体および男女別に傾向をつかんでおこう(図2‐12)。

棒グラフ

図2‐12 得意なこと(複数回答、全体/性別)

 全体として小学生が得意なことは、「絵を描いたり、ものを作ったりすること」(59.4%)や「体を動かしたり、スポーツをしたりすること」(52.1%)が多く、いずれも半数を超えている。次いで「歌をうたったり、楽器を演奏したりすること」(40.7%)も多い。何かを表現することが得意な小学生の姿がうかがえる。また、「だれとでも友だちになれること」(35.5%)や「人を笑わせたり、場をもりあげたりすること」(24.3%)といった、人間関係を築いたり、上手に維持したりすることを得意とする子は、全体の3分の1から4分の1程度いるようだ。ここに挙げた7つのいずれも得意とはしていない子(=「ここにはない」と回答した子)は5.1%とわずかであり、小学生の多くは何かしら得意なことを持っているといえるだろう。

 男女別に見ると、「絵を描いたり、ものを作ったりすること」や「歌を歌ったり、楽器を演奏したりすること」は男子より女子の方が得意としているようである。アンケートの別の質問で、「学校で好きな教科」を尋ねているが、「図工」(男子:13.5%<女子:17.7%)や「音楽」(男子:2.3%<女子:20.3%)が好きと答えた子は男子より女子の方に多いという結果であった。この結果からも、女子は絵や音楽で表現することが好きであり、また得意としていることがわかる。一方、男子は「体を動かしたり、スポーツをしたりすること」について、女子よりも得意としているようである。学校の教科では、男子は女子よりも「体育」(男子:25.2%>女子:13.7%)が好きな子が多く、どうやら好きであることは得意であることにつながっているようである。また、「人を笑わせたり、場をもりあげたりすること」(男子:32.0%>女子:16.7%)も男子に得意とする子が多いようであり、友だち関係の中でムードメーカーになっている様子が目に浮かぶ。男女の回答にあまり差が見られないのは、「今はやっているものに注目すること」や「お気に入りのものをだれよりも早く手に入れること」のような、モノに対する興味や入手行動についてである。

 では、図2‐13でこのことを学年別に見てみよう。

折れ線グラフ

図2-13.得意なこと(複数回答、学年別)

 「絵を描いたり、ものを作ったりすること」が得意な子は1年生の7割(70.5%)を占めているが、学年が上がるにしたがってその割合は減少していき、 6年生に至っては半数をきっている(48.0%)。「歌をうたったり、楽器を演奏したりすること」も、学年が上がると減少する傾向にある。絵や音楽で表現することは、年齢が上がると得意なこととしてとらえられなくなっていくようである。それに比べて「体を動かしたり、スポーツをしたりすること」は学年による変動が少ない。また、「誰とでも友だちになれること」や「人を笑わせたり、場をもりあげたりすること」といった人間関係に関わることについても、全学年を通してほぼ一定である。一方、「今はやっているものに注目すること」は学年の上昇とともに増加しており、高学年になると流行に興味を持つようになっていく子が多くなることが見て取れる。

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